艺术家导言 Shigeki ISOBE 磯部茂樹

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★ 磯部茂樹 ― 心の中の曼荼羅 ― (文:榎俊幸)

★ 2009年 「観◎光/京都」 展につづき、 「不◎空/北京」 展の開催決定。
 参加メンバーの一人、磯部茂樹さんに出品作 「円窓曼荼羅」 についての解説を伺うべくインタビューを試みた。
快く応じてはくれたのだが、質問が作品の意味に及ぶと… 黙して語らず、
逆に 「観る側の視点から想像しもらえれば有難い」 と評論を託された。
作品の意味を絵解きする手掛かりとして、一つだけ与えられた言葉がある、それは 「私の心の中の曼荼羅」 という言葉だ。
今回制作したのは四点だけだが、いずれはあらゆる動物(仏教に纏わる)を描いて中心に如来を描き “曼荼羅” を完成させたい構想を語ってくれた。
画面の四隅に書かれた梵字にも何かヒントが潜んでいるに違いない。
梵児辞典を調べて仏教的な意味を翻訳してみたものの、それぞれの梵字と動物とが結び付くまでの暗号解読には辿り着けなかった。
 
★ 「円窓曼荼羅」 2009年 2m×2m×4枚 麻紙/墨・彩色・砂子・切り金・野毛
 磯部氏は子供の頃にゴッホ展を見て絵に興味を持ち始めたと言う。
やがてゴヤの伝記を読み始めて、続いてレンブラント、そしてトルストイと…次々に伝記を読み、彼らの修行僧のような生き方に共感したのだと語る。
京都という土地に生まれた磯部氏は、仏教美術に慣れ親しんで育った。
現在は仏教の外にも様々な宗教に興味が広がり、イスラム教、キリスト教、その他の宗教的書物も読んでいるそうだ。
 
 昨年秋京都で開催された 「観◎光 EXPO 2009」 の副題になった言葉、「日本の美とこころ」 を提唱するのも磯部氏である。
元来、日本人は自然と共存しながら独自の文化を育んできた。
それが、近年では欧米文化の形だけを真似した合理主義(経済至上主義)一辺倒になり、弱肉強食の非情な社会になってしまった。
今こそ仏教思想や日本的精神を踏まえた上で時代を考え直す必要がある。
私達は伝統文化の何を残し、何を革新するのか選ばねばならない。
「温故知新」 が大切なのだと磯部氏は説く。

 磯部茂樹という画家と作品をどう読み解くか、私一人だけでは難しい。
 
 「円窓曼荼羅」 を観た感想を中堀氏にも伺ってみた。
磯部さんの作品や作者本人から感じるのは 「諸行無常」 だと言う。
その画家は私生活で深い絶望と悲しみを経験し、それを乗り越えてきた。
彼の心の中に去来するものを考えたとき、 「 一切有為法 如夢幻泡影 」 の言葉が想い浮ぶと中堀氏は言う。
「諸行無常 ・・・」 彼の絵には何かしら悲しみを感じるそうだ。
 

 磯部氏の描いた動物達としばらく目を合わせてみる。
次第にその目が悲しみの彼方を見詰めているように感じられて来た。
深い悲しみは空蝉の衆生に輪廻転生を繰り返すとも尽きることはない。
救われたい、でも悲しみを抱えながらも今生を生き抜かねばならない。
これは自画像なのだ、動物曼荼羅に形を借りた作者自身の姿なのだ。
「円窓」 は作者の瞳だ、 「曼荼羅」 は巡り彷徨い続ける作者の心だ。
この絵をもうこれ以上深読みする必要は無いように思えて来た。
始めから言葉化出来る意味など存在していないのだ、それでいいと思う。